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英語の絵本『How I Learned Geography』を楽しもう！

こんにちは！本日ご紹介する絵本は、「How I Learned Geography」です🗺️

Uri Shulevitz（ユーリ・シュルヴィッツ, 1935–2024）は、ポーランド生まれの絵本作家😃 第二次世界大戦中、幼い頃に家族とともに避難生活を送った経験をもとに、多くの作品で「失われたもの」と「想像力の力」を描いてきました。

代表作には、

『Snow』（1998年／Caldecott Honor受賞）
『The Fool of the World and the Flying Ship』（1979年／Caldecott Medal受賞）
などがあり、幻想と現実の狭間を静かに描く独特の作風で世界中の読者に愛されています。

『How I Learned Geography』は、そんな彼の実体験に基づいた自伝的な絵本です👍
「地図」というシンプルなモチーフに、戦争・飢え・希望・想像の力が凝縮された、深く心に残る一冊です！

物語の舞台は、戦争で荒廃した国。

ある日、少年の家族は爆撃を逃れて、遠くの村に避難します。
家も財産も失い、住む場所は粗末な小屋。食べ物もほとんどなく、毎日が貧しく苦しい暮らしでした。

ある夕方、父親が市場へ出かけ、「食べ物を買ってくる」と言って出かけます。
少年と母親はわずかな希望を胸に待ちますが、父が手にして帰ってきたのは――パンではなく、巨大な世界地図。

母親は怒ります。「どうして食べ物を買わなかったの！」
けれど父は静かに言います。

“It was beautiful… and it cost less.”

その夜、少年はお腹を空かせたまま、壁に貼られた色鮮やかな地図を見つめます。

見たことのない形の国、青く広がる海、黄色い砂漠、雪の山々。
やがて少年は想像の翼を広げ、地図の中を旅し始めます。

“I saw deserts with sands that burned like gold.
I saw mountains that rose to the clouds.”

空腹の体で、心は遠くの世界を自由に飛び回る――。
そして、彼は気づくのです。
「地図を見れば、どんなに遠い場所にも行ける」と。

“Uri Shulevitz の絵はいつも詩的ですが、本作では特に色彩の使い分けが秀逸です。避難生活のシーンは、淡いグレーや茶色を基調に、荒れた土地と寂しい人々の表情を描いています。

父が買ってきた地図のページを開くと、パッと色が溢れます。
青、赤、金、緑――ページ全体が光に満ち、少年の想像の旅が始まります。

現実世界の“灰色”と、想像世界の“色”が対照的に描かれることで、心の変化を視覚的に伝えています。

Uri Shulevitz の文章はシンプルで、短いフレーズが多いですが、その中に強い感情がこめられています。

“We came to a land of sun and dust.”
“We lived in a small room made of clay.”
“There was little to eat.”

英語としては易しいレベル（小学生〜中学生でも理解可能）ですが、単語の選び方やリズムが詩的で美しい。音読すると、淡々とした語りの奥に「静かな力」が感じられます。また、最後の数ページでは、少年の心の中に“無限の世界”が広がる様子を短いセンテンスで描き、読む者の想像力を刺激します。

1. 想像力の力

「お腹を満たす食べ物」はなかったけれど、「心を満たす世界」は地図の中にありました。
現実ではどこにも行けなくても、想像力があれば世界中を旅できる。
これは、絵本作家シュルヴィッツ自身が、戦争下で地図や本を通して学んだ真実でもあります。

2. 教育と希望の価値

父親が地図を買ったのは、単なる気まぐれではなく、
「この子に世界を見せたい」「希望を失ってほしくない」という思いだったのかもしれません。
親の愛が、地図という“知の象徴”を通して語られる構成です。

3. 貧しさと豊かさの対比

飢え・寒さ・孤独――そうした苦しみの中でも、少年は世界を“豊か”に感じる瞬間を持つ。
物質的には貧しくても、心の中は誰よりも自由で豊か。
まさに、現代にも通じる「心の幸福とは何か」を問うテーマです。

活用シーン	おすすめの読み方
読み聞かせ	声のトーンを抑えて静かに。地図のページでトーンを明るく変えると効果的。
英語学習	短文が多く、過去形・地名・地理表現の導入にも◎。「I saw」「I traveled」など繰り返しで学びやすい。
アート鑑賞	色彩の変化に注目して「どのページが好き？」と話すと感性教育にも。